今回は荒川祐二が書かれた本『神訳 古事記』についてご紹介します。
古事記とは、日本を生み出し、作り上げた神様たちのお話です。
その神様の子孫が天皇家として崇められています。
ストーリーはイザナギとイザナミが生まれて、神武天皇(じんむてんのう)が誕生するまでのお話です。
こちらの本は現代語で書かれていて、ライトノベルを読んでいるような感覚で読めます。
Amazonのレビューを見ると漫画と勘違いして買ってしまった人もいるようですが、僕も同じです(笑)
オススメに出てきたので、表紙を見て「この漫画面白そう」と勘違いをしてしまいました。
国語の教科書を読める人なら、子供でも面白可笑しく読めるのでオススメです!
最初の神『イザナギ』と『イザナミ』
古事記は何も無い世界に神々が突如生まれたところから始まります。
そして最後に生まれたのが、日本を作ったイザナギとイザナミです。
国づくり
イザナギとイザナミは目が覚めたときに、アメノミナカヌシという凄く偉い神様から指令を与えられます。
その指令は「二神(ふたり)で国を作りなさい」というものでした。
「え?どういうこと?」と理解できていない二神にアメノミナカヌシは『雨の沼矛(あまのぬぼこ)』という道具を渡して、「早く行け!」というように追い出します。
目が覚めたら、いきなり矛を渡されて追い出された二神。
指示の意味がよくわからないので、とりあえず雨の沼矛を地上にぶっ刺して混ぜたところ、一番最初の大陸ができました。
この島は自凝島(おのごろじま)と名付けられ、現在は兵庫県にあるオノゴロ島だという伝説があります。
神々の誕生
イザナギはとあることに疑問を持ちます。
「股に何か付いてるんだけど?」と。
そしてイザナミは「私はくぼんでるんだけど」と返事をします。
その後、イザナギが“あなたのくぼんだところを私の飛び出している物で塞いで国を産みましょう”と言いだして、急に大人の話に発展します。
これはこの本だから卑猥なわけではなく、古事記の原文で書かれている内容です。
こんな官能小説みたいなストーリーを考えたのは、天皇家の御先祖様であり、神様です。
しかし、イザナギとイザナミは兄妹という昼ドラのような事実が発覚します。
イザナミから声をかけてやってみたところ、ぐにゃぐにゃの生物が生まれました。
その子供は水蛭子(ひるこ)と名付けられました。
だけどイザナギとイザナミは初めて産んだ子供が気に入らず、船に乗せて海に流してしまいます。
なんと日本を作った神様は、子供を海に流すという外道な存在でした。
この失敗を2回繰り返して挫折した二神は、凄い神様達に相談しました。
そして占ってもらうと”イザナミ(女性)から声をかけたのが悪い”という結論でした。
つまり、日本ができる前から「女性を誘う時は男性から」という神話があったということです。
そしてイザナギから声をかけてやり直してみると、淡路島、四国、九州、本州と次々と日本の大陸が産まれました。
イザナミが死ぬ
その後イザナミは海の神、山の神、風の神とたくさんの神を産みました。
そして、イザナギがそろそろ国づくりは子供達に任せて、二神で隠居しようと考えていたところに悲劇が起こりました。
イザナミの悲鳴が聞こえてイザナギが急いで駆けつけると、そこには大火傷を負ったイザナミがいました。
イザナミの横には火に包まれた赤ちゃん、ヒノカグツチがいました。
大火傷を負ったイザナミは息を引き取りました。
そしてイザナギは、イザナミを殺したヒノカグツチを天之尾羽張(アメノオハバリ)という剣で首を切り落しました。
日本の神様はいきなり子供を海に流したり、首を切り落したり結構エグイ。
イザナギ、黄泉の国へ
イザナギは死んでしまったイザナミを助けようと黄泉の国に行きました。
そこにイザナミはいましたが、姿は見えず声だけ聞こえました。
しかし既に黄泉戸喫(よもつへぐい)という、黄泉の国の食べ物を食べてしまった後でした。
これは“同じ釜の飯を食べた仲”という言葉がある通り、黄泉の国の食べ物を食べてしまい黄泉の住人になってしまったということです。
だけどイザナギは必死にイザナミを連れて帰ろうと粘ると、イザナミは“黄泉の国の神に相談してみる”と返事をしました。
ただし条件が一つあって、待っている間は“イザナミの姿を見ようとするな”ということでした。
イザナギは納得して待ちました。
長い時間待ってもイザナミが帰ってこないことに不安を感じたイザナギは、待ちきれずに約束を破ってイザナミの様子を見に行きました。
すると、そこには腐敗したイザナミがいました。
イザナミ「見たな…」
と言い、イザナギを追いかけてきます。
そしてゲームのバイオハザードのような展開になり、イザナギはゾンビ(イザナミ)から必死に逃げます。
なぜイザナミがぶち切れながら追いかけてくるのかというと、日本人は『恥』を嫌う民族だからだそうです。
つまり「化粧が終わるまで待ってね」と言われたのに待ちきれずに顔を見てしまった男が、ナイフを持ったメンヘラ女に追いかけられているような状況です。
どんだけ今まで好きだったとしても、こんな状況になったら愛情は無くなります。
イザナギは黄泉の国の出入り口近くまで逃げ切って、近くにあった大きな岩をバカ力で動かして出入り口を塞ぎました。
そして、岩の向こう側からイザナミは言いました。
イザナミ「復讐として、あなたの国の人達を毎日1000人絞め殺します」
日本を産んでくれた神様は、相当病んでいるメンヘラだったようです。
太陽神アマテラス
イザナギは黄泉の国で汚れてしまった体を綺麗にするために、筑紫国(つくしのくに)にある河で禊(みそぎ)を行いました。
ここから禊(身を削いで穢れを払う)という言葉が生まれました。
またイザナギが黄泉の国から帰ってきたことによって、「蘇る(黄泉帰る)」という言葉が生まれました。
有名な神が誕生
体を洗うと様々な神様が生まれました。
左目を洗って、太陽の女神アマテラスオオミカミ(アマテラス)
右目を洗って、月の神ツクヨミノミコト(ツクヨミ)
鼻を洗って、大海原の神スサノオノミコト(スサノオ)
今までにたくさんの神が生まれましたが、この神達は輝きが違いました。
ゲームでよく見かける名前なので、この3神の名前を聞いたことがある方も多いと思います。
この後、イザナギは「黄泉の国にいる母親に会いたい」としつこいスサノオと喧嘩し、この話以降出てこなくなります。
スサノオの暴走
イザナギに「出ていけ!」と怒られて自信喪失したスサノオは、高天原(たかまがはら)にいるアマテラスに会いに行きます。
高天原に現れたスサノオを見た住人達はスサノオが高天原を奪いに来たと勘違いします。
そしてスサノオは争う気がないことを伝えると、アマテラスは「戦う気がないなら刀をよこせ!」と言い、スサノオから奪った刀をかみ砕きます。
それを見たスサノオは、アマテラスから勾玉(まがたま)を受け取ってかみ砕きました。
父親のイザナギは子供を海に流したり首を切るサイコパス、母親のイザナミは超メンヘラ、子供も子供で狂ってます。
勾玉をかみ砕いたスサノオが息を吹くと、皇室の御先祖になるアメノオシホミミが生まれました。
そしてスサノオは高天原に住むことになりました。
アマテラス、引き篭もりニートになる
スサノオは田んぼを壊したり、道端にうんこをしたり、迷惑をかけまくっていました。
でもアマテラスは弟に甘く、悪行を許していました。
しかし、そんなアマテラスでも許せないような大事件が起きます。
機織女(はたおりひめ)の上に皮が剥ぎ取られた馬が落ちてきて、機織女は機織機の尖った部分が刺さって死んでしまいました。
誰がこの馬を投げたかというと、問題児のスサノオでした。
流石にアマテラスはこの事件を許すことはできず、ノイローゼになって天の岩屋戸(あめのいわやど)と呼ばれる洞窟に引きこもりました。
アマテラスが引きこもったことによって光が消えて疫病の神々が動き出し、高天原&地上界は混沌(カオス)に包まれました。
八百万(やおよろず)の神々は、この引きこもりニートを外に出すために祭りを始めました。
そこではニワトリを鳴かせるという呪術もあります。
なので、ニワトリは日の出に鳴くと言われています。
そしてアマテラスは自分のいない世界が楽しそうなことに気づいて様子を見るために顔を出します。
するとアメノタヂカラオという怪力神に腕を掴まれて引きずり出されます。
さらにアマテラスがまた引きこもらないよう、フトダマという神が結界を張りました。
アマテラスはまともな神様かと思っていましたが、彼女は引きこもりだったようです。
スサノオとヤマタノオロチの戦い
アマテラスが引きこもりニートになり、世界をカオスに変えてしまう原因となった、問題児のスサノオは高天原から追放されます。
二神目の被害者
お腹を空かせているときに食物の神オホゲツヒメと出会います。
そして、オホゲツヒメがスサノオのために厨房で食事の準備をしてくれました。
スサノオは良い香りに我慢ができず、厨房を見ると…
オホゲツヒメが穴という穴、体の全ての穴から食べ物を出していました。
それを見たスサノオは怒り狂ってオホゲツヒメを殺害。
スサノオが殺ったのは、これで二神目。
さすがサイコパス(イザナギ)の息子。
オホゲツヒメは死んだ後は様々な食べ物に変わり、これが『五穀』の起源となりました。
ヤマタノオロチとの戦い
サイコパスサノオは、アシナヅチとクシナダヒメという神と出会います。
そしてヤマタノオロチという怪物に、アシナヅチの娘であるクシナダヒメを生贄に捧げないといけないことを知りました。
スサノオはクシナダヒメに一目惚れして、二神が悲しんでいるところに「オラにクシナダヒメをくれ」と言います。
相変わらず空気の読めない神様。
だけど、クシナダヒメはこの率直な神に惚れました。
そこでアシナヅチは“ヤマタノオロチを倒したら娘を差し上げます”と言いました。
スサノオはバカですが悪知恵の働く神です。
ヤマタノオロチの特徴を聞いた後、今後お義父さんと呼ぶことになるであろうアシナヅチに「娘を殺されたくなったら、八つの樽に酒を入れてこい!」と指示します。
そして準備が終わった後、ヤマタノオロチが出現します。
ヤマタノオロチは大好物の酒を見つけて、8つの頭で飲み干します。
スサノオが準備した酒はアルコール濃度が高く、酒好きのヤマタノオロチは睡魔に耐えられずにその場で寝てしまいました。
そして、寝ているヤマタノオロチの頭を1個斬り落とします。
するとヤマタノオロチは目を覚まして暴れますが、酔っぱらっているのでまともに戦うことができません。
酔っ払っているヤマタノオロチの残り7つの首を斬り落とし、スサノオは見事に勝利します。
念のためにヤマタノオロチの尻尾を斬っていると、三種の神器である草薙の太刀が現れました。
問題児から英雄へ
その後スサノオはアマテラスのいる高天原に訪れると、前回とは違って天上界の神々から歓迎されます。
そして、スサノオはアマテラスから『英雄スサノオノミコト』と呼ばれるようになります。
また、草薙の太刀は高天原に預けられました。
スサノオは地上に戻った後、命を救ったクシナダヒメと結婚して須賀で暮らすことに。
今までの波乱万丈の思い出を振り返って、日本最古の和歌を作りました。
“八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を”
(やくもたつ いづもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
オオクニヌシの国作り
スサノオの時代から時が経ち、スサノオの六代目にあたる八十神(やそがみ)と呼ばれるたくさんの神の中にオオナムヂという神様がいました。
因幡の白兎
八十神たちは結婚相手を探している因幡国(いなばのくに)のヤガミヒメにプロポーズをするために因幡国に向かいます。
八十神の一番下っ端のオオナムヂは荷物持ちで後方を歩いていました。
その時、皮を剥かれた裸のウサギと出会うことになります。
(スサノオも馬の皮を剥いでたし、動物の皮がやたらと剥かれる…)
このウサギが剥かれていたのは、このウサギに騙されてバカにされたサメが怒って仕返しされたらしいです。
そのウサギに毛が生える方法を教えると、すぐにモコモコのウサギなりました。
その後にウサギはこのように言います。
“ヤガミヒメが結婚するのはあなたです”
兄弟の嫉妬で殺される神様
やっとこさヤガミヒメの前に辿り着いたオオナムヂ。
すると、八十神のプロポーズをことごとく断っていました。
そしてヤガミヒメは言います。
“オオナムヂと結婚します”
初めて出会ったモテモテのヤガミヒメから、いきなり逆プロポーズされたオオナムヂ。
八十神の中で一番下っ端のオオナムヂが逆プロポーズされたことが許せない八十神達は、オオナムヂを殺そうと計画を立てます。
兄弟からイノシシ狩りに誘われたオオナムヂは、待ち伏せするよう指示されます。
そして待ち伏せしていたところに大きい岩が転がってきて死にます。
オオナムヂの死を母親は凄く悲しんで、造化三神(ぞうかさんしん)のカミムスヒにオオナムヂの蘇生してほしいと懇願しました。
すると赤貝の化身キサガイヒメとハマグリの化身ウムギヒメによってオオナムヂは蘇ります。
しかし蘇った後、またすぐに八十神達に騙されてオオナムヂは死にます。
頑張って蘇らせた息子がすぐ死んでしまったことに、母親はまた泣きじゃくります。
そして今度は母親の気合でオオナムヂを蘇らせます。
(さっきのカミムスヒの話は何?)
母親はバカ正直のバカ息子にこのように言いました。
「紀伊国(きいのくに)にオオヤビコがいるから会ってこい」と。
オオヤビコというのは林業の神様です。
オオナムヂは早速オオヤビコのところに行きますが、すぐに八十神が殺しにやってきました。
そして、八十神はオオヤビコに向かって「オオナムヂを渡さないならお前も殺す」と言います。
八十神はもう、ただのテロリストです。
安全を保障できなくなったオオヤビコはオオナムヂに“堅洲国(かたすのくに)にいるスサノオに会いに行け”と言います。
スサノオの試練
オオナムヂが早速スサノオに会いに行くと、スサノオの娘スセリヒメと出会ってお互いに一目惚れします。(日本の神様は一目惚ればかり)
その後スサノオが現れ、オオナムヂが大物になる可能性を感じて、スサノオはオオナムヂを育てるために試練をいくつか与えます。
試練は過酷なものばかりで「蛇がいっぱいいる部屋で寝ろ」とか「ムカデ&蜂がいっぱいいる部屋で寝ろ」とか、英雄になったのにどうやらサイコパスな性格は治ってないようです。
オオナムヂは試練の対策がありませんでしたが、スセリヒメがドラえもんの如く次々と対策グッズを出してくれました。
スサノオは最後の試練として野原に向けて弓を放ち、「弓を拾ってこい」と指示します。
「今までの試練と比べれば簡単じゃん」と思って野原に入った瞬間、スサノオは野原に火を放ちました。
古事記で学んだのは『サイコパスは絶対に信じてはいけない』こと。
でも昔とは違って大事な人(スセリヒメ)ができたオオナムヂは、前みたいに簡単に死ぬ気はありませんでした。
生きる術を必死に模索している時にネズミを発見し、近づいてみるとオオナムヂは大きな落とし穴に落ちます。
そして穴には火が入ってこず、オオナムヂは助かりました。
スサノオがオオナムヂを発見すると、オオナムヂはたくましい表情になっていました。
オオクニヌシの誕生
スサノオは試練を乗り越えたオオナムヂを部屋に招き入れ、しばらくすると寝てしまいました。
するとオオナムヂとスセリヒメはスサノオの髪を柱に結んで、部屋の入り口を大きな岩で塞いでスサノオの持ち物を盗んで駆け落ちします。
オオナムヂは今までの神様と違うと思ってたけど、最後の最後で狂ってしまいました。
そして目が覚めたスサノオは柱に結んだ髪がほどけず、バカ力で神殿を引きずりながらオオナムヂを追いかけます。
しかしスサノオは怒っているわけではなく、オオナムヂに伝えたいことがありました。
スサノオは大声で“生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)はやる!ただし、地上界の王オオクニヌシになれ!あと娘を幸せにしろ!”と叫びました。
オオナムヂはその言葉を聞いて「俺は地上界の王になる!」と決意します。
この誓いを決めた時にオオナムヂはオオクニヌシに神化します。
国づくり
オオクニヌシは出雲に戻りました。
そして八十神たちはオオクニヌシに神化したオオナムヂを見て、昔のようにイジメることができずに配下になりした。
その後、海から掌に乗るぐらいの小さい神スクナビコナノカミが現れます。
突然現れたスクナビコナノカミの正体は、オオナムヂを蘇らせてくれたカミムスヒの子供でした。
そしてカミムスヒは“スクナビコナノカミと一緒に国を作りなさい”と言いました。
そこから二神の国づくりが始まり、無事に日本が完成すると思いきや…
スクナビコナノカミは突然、何も言わずに芋の船に乗って海の向こうに行ってしまいました。
行先は常世の国(とこよのくに)。
日本は昔、海の向こうには神様が暮らす『常世の国』があると信じていました。
突然の別れに悲しもうとした瞬間、オオクニヌシのもう一人の僕オオモノヌシが現れて、二神の力で日本が完成します。
高天原のアマテラス VS 地上界のオオクニヌシ
オオクニヌシの国づくりに良く思わない神がいました。
それが高天原を統べるアマテラスです。
“本来は高天原の神が日本を統べるべきだった。地上界の神が統べるのは解せん”と。
引きこもりだったアマテラスが、急に闘争本能が剥き出しの性格になりました。
そして、アマテラスはアメノオシホミミという自分の子供(神)に地上界を取り戻すよう指示します。
アマテラス軍の侵略①
アメノオシホミミは実戦経験がなく、指示には従ったものの意欲がありませんでした。
地上界に降りてみたところ、地上界は動物/植物/妖怪など百鬼夜行状態になっており、アメノオシホミミは敵前逃亡。
アマテラスに”荷が重い”と伝えて神殿に引きこもり、地上界は何も知らないうちに高天原の攻撃を退くことに成功。
ギャグ漫画のような話です。
アマテラス軍の侵略②
アマテラスの次の手として、アメノオシホミミの弟アメノホヒに地上界を奪うよう指示を出しました。
兄とは違って真面目で、戦う気持ちもあります。
アメノホヒが地上に降りると、すんなりとオオクニヌシと直接話すことができました。
そして、出会って数秒でアメノホヒは気づきます。
この神には「勝てない」と…
また高天原のどの神様より尊敬できると思い、アメノホヒは地上界の住人になりました。
これは「ブラック企業が社員を派遣したら、ホワイト企業に引き抜かれてしまった」という話に似ています。
つまり、アマテラスが治める高天原はブラック企業だったんじゃないかと予想しています。
アマテラス軍の侵略③
自分の子供を奪われたアマテラスは、次にアメノワカヒコという武力に優れた神に指令を出します。
しかも雨之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)&雨之波矢(あめのははや)という神具まで持たせて。
完全なる武力行使です。
アメノホヒの時と同じく、アメノワカヒコはオオクニヌシと直接話すことになりました。
アメノワカヒコは戦う気満々でしたが、オオクニヌシは急に娘のシタテルヒメを紹介します。
もう何となくわかると思いますが、アメノワカヒコはシタテルヒメに一目惚れして結婚。
ただし、アメノワカヒコはただのバカではありませんでした。
オオクニヌシが引退した後は、娘の婿の自分が地上界のボスになることを考えていました。
そして高天原に帰ってこないアメノワカヒコを心配し、高天原の神はキジに様子を見てくるよう指示します。
しかしアメノワカヒコは、現状を裏切り行為だと勘違いされないように、キジ一匹に神具の雨之麻迦古弓&雨之波矢で一撃必殺。
高天原にいる造化三神のタカミムスヒは異変に気付き、アメノワカヒコが裏切ったと勘違いして自動追尾する矢を投げて殺しました。
高天原はどうやら、ブラック企業ではなく反社会的勢力だったようです。
4度目の正直
アマテラス組長は、高天原組No.2若頭のタケミカヅチに指令を出します。
タケミカヅチとはイザナミを殺した原因であり、またイザナギが首を斬ったヒノカグツチの血から生まれた神様。
そして高天原最強の神です。
タケミカヅチはオオクニヌシの前に雷鳴の如く現れて、オオクニヌシは察しました。
「オラ、こいつには勝てねぇ…」と。
最後の手段としてオオクニヌシの息子であり、そして地上界最強のタケミナカタを呼びました。
「おめぇの出番だぞ!タケミナカタ!」
しかし、タケミナカタは自信満々に戦いに挑むも一瞬で負けます。
タケミナカタは悟飯ではなく、ヤムチャだったようです。
死を覚悟したオオクニヌシに向けて、タケミカヅチはアマテラスからの伝言を伝えます。
“国づくりをしてくれてありがとう。だからあなたとは戦いたくなかった”と。
(いや、何度も宣戦布告してきたのはアマテラス…)
アマテラスは組長じゃなくて、映画ドラえもんのジャイアンだったようです。
これにて、高天原VS地上界の長い闘いは終わりました。
神武天皇(初代天皇)誕生
アマテラスは孫のアメニキシクニニキシアマツヒコヒコホノニニギノミコトに、三種の神器『草薙の太刀(くさなぎのたち)』『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』『八咫鏡(やたのかがみ)』を渡します。
そして『三大神勅』という言葉を伝えて地上を治める指示を出しました。
アメニキ……から三代後に生まれた神様はカムヤマトイワレビコ、別名《神武天皇》と呼ばれました。
神武天皇とは初代天皇を指します。
つまり天皇の先祖はアマテラスであり、イザナギであるということです。
おわりに
『神訳 古事記』について感想を書かせていただきました。
「堅苦しいんだろうなぁ…」と思って読み始めましたが、初っ端から狂ってる神様のオンパレードで、最後まで面白可笑しく読むことができました。
まさかソシャゲやカードゲームでよく見かけるアマテラス/スサノオ/ヒノカグツチがこんな神だったとは。ヒノカグツチなんて生まれてすぐ、親に殺されてますからね…
あと予想以上に日本の神様は荒々しかった。
アマテラスはおしとやかな神だと思ってたのに、サイヤ人並みの戦闘狂だったとは。
今回の話でこの本が気になった方は、ぜひお買い求めくださいませ。