生活家電/カメラ/パソコンなどで有名なパナソニックの創立者、松下幸之助さんの書かれた本《道をひらく》について、読書感想をお話します。
この本は僕が26歳のときに読んだ本です。
新卒で入社した会社は残業代無しで毎日朝7時~0時まで働き、土日は休日出勤の有無の連絡を待つ家畜のような生活でした。
その生活で心が壊れ、人生に迷っているときに本屋をウロウロしていたら、自然とこの本が目に止まりました。
そして読んでみると、一言一言が心に染みて「今までの自分は何だったんだろう」と思い、考え方がポジティブに一転しました。
人生に悩んでいる人は、絶対に松下幸之助さんの熱い想いが詰まっている《道をひらく》を読むことをオススメします。
僕は小学生のときから自分が大嫌いでしたが、その何十年もネガティブだった考えが改善されました。
- ①「自分には自分に与えられた道がある。この道を休まず歩むことである。休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。」
- ②「志を立てよう。志を立てるのに、老いも若きもない。そして志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。道がひらけぬというのは、何か事をなしたいというその思いに、いま一つ欠けるところがあった。志とは勇気である。実行力である。」
- ③「自分の持てるものを他に与えることによって、それにふさわしいものを他から受けるのである。これで世の中は成り立っている。だから、多く受けたいと思えば多く与えればよいのであって、十分に与えもしないで、多く受けたいと思うのが、虫のいい考えというもので、こんな人ばかりだと、世の中は繁栄しない。」
- ④「おたがいにまわりの人の長所と欠点を、素直な心でよく理解しておくということである。長所をできるかぎり発揮させてあげるように、またその短所をできるかぎり補ってあげるように、暖かい心で最善の心くばりをするということである。」
- ⑤「いい考えを持ち、真剣な努力を重ねても、なかなかにこれが世間に認められないときがある。めくらが千人いれば、目明きもまた千人いるのである。世間にたいしては、いつも謙虚さを忘れず、また希望を失わず、着実に力強く自分の道を歩むよう心掛けたいものである。」
- ⑥「新たな時代にふさわしい新たな姿で政治や経済、教育や文化に正しくよみがえらせたい。この世界により大きな幸せをもたらすために。」
- ⑦「いつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。楽をするくふうをしろというのである。楽々と働いて、なおすばらしい成果があげられる働き方を、おたがいにもっとくふうしたいというのである。」
- ⑧「勝負というものには、勝ち負けのほかに、勝ち方、負け方というその内容が大きな問題となるのである。ただ成果をあげさえすればいいんだというわけで、他の迷惑もかえりみず、しゃにむに進むということであれば、その事業は社会的に何らの存在意義も持たないことになる。いかに正しい方法で成果をあげるかということが、大きな問題になるわけである。」
- ⑨「素直に自分の非を認めないどころか、逆に何かと抗弁をしたがる。自分も傷つき他人も傷つけることになる。これでは繁栄も平和も幸福も望めるはずがない。自分の非を素直に認め、いつでもこれに準ずる。」
- ⑩「勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。人間のいわば一つの大事な徳である。何であるかぎり、これを積むには不断の努力がいる。」
- ⑪「あなたはいま、何をもとめて日々努力し、日本はいま、何をめざして進んでいるのだろうか。」
- おわりに
①「自分には自分に与えられた道がある。この道を休まず歩むことである。休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。」
一番最初に書かれている内容で、おそらく松下幸之助さんが一番伝えたい言葉なのだと思います。
この本で書かれている「道」は「人生」を例えているもので、「人それぞれの人生があるから、自分の夢を求めて、休まずに頑張れば必ず新しい夢が現れる」ということを言っています。
世の中には、「なんでお前できねぇんだよ!」と言うブラック上司がいる会社もあります。
その人は自己中で、松下さんのように個性を認めようとしません。
そういう人と一緒にいても疲れるし時間の無駄なので、一日でも早く転職や部署異動して離れましょう。
②「志を立てよう。志を立てるのに、老いも若きもない。そして志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。道がひらけぬというのは、何か事をなしたいというその思いに、いま一つ欠けるところがあった。志とは勇気である。実行力である。」
松下さんは、志について熱く語っています。
志とは、熱い夢です。
例えば僕の志は「世界のいじめをゼロにして、たくさんの人が幸せな毎日を過ごす社会にする」といったものです。
いじめを無くすためには「まず教育から変えないとダメだ」と考えて、子供から大人に道徳を教えたり、YouTubeで他人を傷つけないビジネスやテクノロジーについて話しています。
YouTubeや本などで、成功した経営者&起業家がよく言っていますが、成功するためには『行動あるのみ』です。
「私にはできない」「時間がない」と言ってるだけでは、人生は何も変わりません。
③「自分の持てるものを他に与えることによって、それにふさわしいものを他から受けるのである。これで世の中は成り立っている。だから、多く受けたいと思えば多く与えればよいのであって、十分に与えもしないで、多く受けたいと思うのが、虫のいい考えというもので、こんな人ばかりだと、世の中は繁栄しない。」
このGive and Takeの考えを、僕は「鏡の法則」と呼んでいます。
これは他人を喜ばせた分、それが自分に返ってくることです。
僕は人材派遣の飛び込み営業を始めたばかりのとき、自分の利益ばかり考えていて、1年以上売上がゼロで、社長から怒られていました。
そこで売り込むことをやめて、相手が喜ぶこと、それは異業種の最新情報を伝えたり、どういう人材が必要であるかといった悩みを聞くことに専念しました。
それを1年以上続けた結果、初めて売上が出て、仲良くなった人達から「こういうことはできないか?」「こういう人はいないか?」といったお話をいただけるようになりました。
信頼を得るためには時間はかかりますが、Giveを続けていれば良いことが返ってきます。
ただ、自己中で貰うことしか考えないテイカーもいるので、喜びを与えて良い人を選ぶ観察眼が大切です。
観察眼は、たくさんの人にGiveし続けていれば自然と鍛えられます。
観察眼を鍛えると、嘘つきを見分けられるようになって、騙されてお金を取られることがなくなります。
④「おたがいにまわりの人の長所と欠点を、素直な心でよく理解しておくということである。長所をできるかぎり発揮させてあげるように、またその短所をできるかぎり補ってあげるように、暖かい心で最善の心くばりをするということである。」
人には個性があって、事務作業が得意な人がいれば、人と話すのが得意な人もいます。
だけど会社や学校では、自分に合わない仕事や勉強を指示され、怒られたりバカにされたりして、心が病んでしまう人がたくさんいます。
この病は、ときには人の命を奪います。
なので松下さんは“上司も部下も、先生も親も、お互いの長所&短所をよく理解して、協力し合いましょう”と言っています。
僕は東京と愛知でたくさんの社長や役員とお会いしましたが、個性を否定する人が多かったです。
会社には「こんなの誰でもできる仕事だから」って言う人がいますが、それは嘘です。
「誰でもできる」という思い込みを捨てて、他人の長所&短所を理解する気持ちが大切です。
⑤「いい考えを持ち、真剣な努力を重ねても、なかなかにこれが世間に認められないときがある。めくらが千人いれば、目明きもまた千人いるのである。世間にたいしては、いつも謙虚さを忘れず、また希望を失わず、着実に力強く自分の道を歩むよう心掛けたいものである。」
自分が「すごい頑張った!」と思っても、他人から評価されないことがあります。
でも、“認めない人もいれば、ちゃんと認めてくれる人もいる”と、松下さんは言っています。
毎日努力していれば、それは経験になって、必ず認めてくれる人が現れます。
今では有名な画家やミュージシャンも、最初の数年間は認めてもらえませんでした。
「認めてくれない…」と諦めず、夢を叶えるために毎日数分でも続けて、胸を張って「私は10年間やってきた!」と言えるようになりましょう。
⑥「新たな時代にふさわしい新たな姿で政治や経済、教育や文化に正しくよみがえらせたい。この世界により大きな幸せをもたらすために。」
この章では、松下さんの”世界中の人達を幸せにしたい”という気持ちが伝わってきます。
マズローの欲求5段階説でお話しましたが、松下幸之助さんは自分自身の幸福ではなく、6段目の自己超越欲求である『他者の幸福』を願っています。
そして多くの人達が幸せになるためには、政治/経済/教育が変わらないといけません。
例えば「自動車事故を無くすために、自動車/自転車/歩道を完全に分ける」とか、「いじめを無くすために、テストの点数で良い悪いを決めない」とか。
「差別はダメだ!」と言いながら、差別している大人がたくさんいます。
一人ひとりの長所/短所を認めて、世界中の人達が自分らしく楽しく生活できる人生になってほしいですね。
⑦「いつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。楽をするくふうをしろというのである。楽々と働いて、なおすばらしい成果があげられる働き方を、おたがいにもっとくふうしたいというのである。」
今の日本企業を見ていると、テレワークやAIといったテクノロジーを否定している人がとても多いように感じます。
テレワークにすると、会社に通う交通費が削減できたり、子育てしやすくなるので、社員の幸福度が上がります。
だけど「今までこれでやってきた」と言う人が多く、やり方を頑固に変えようとしません。
そして優秀な社員がどんどん辞めていって、「どうすれば社員が退職しないようになりますか?」と言っています。
AIで経費処理や作業ラインなどを自動化すれば、人件費の工数削減や人為的ミスが減って、利益が増えて、社員の給料を増やすことができます。
社員を残すためには、テクノロジーをフル活用して、サビ残を無くして、休みたいときに休めるようにして、給料を増やすだけです。
こんな簡単なことを数十万円も出して、詐欺のコンサルタントに頼む社長がたくさんいます。
そのお金を設備投資にしたり、社員にボーナスとして配った方が、社員の満足度は上がるでしょう。
この本は、50年以上前に松下さんが書かれた本です。
全ての会社の社長が、松下さんのように社員第一で経営していたら、GAFA(Google/Amazon/Facebook[meta]、Apple)と戦える日本企業がたくさんあったでしょう。
世界時価総額ランキングTOP50に入っている日本企業は、トヨタだけです。
そのトヨタもTOP10ではなく、41位で下がり続けています。
日本の社長たちが時代に合った改善意識をもたないと、年収はどんどん下がり続けて、リストラや倒産も増えるでしょう。
⑧「勝負というものには、勝ち負けのほかに、勝ち方、負け方というその内容が大きな問題となるのである。ただ成果をあげさえすればいいんだというわけで、他の迷惑もかえりみず、しゃにむに進むということであれば、その事業は社会的に何らの存在意義も持たないことになる。いかに正しい方法で成果をあげるかということが、大きな問題になるわけである。」
僕は昔にワールドカップを観ていたんですが、日本のサッカー選手がパスばかりしてつまらない試合を見てから視聴しなくなりました。
この時の試合は、海外からもかなり批判されてました。
以前に元野球選手のイチローさんが言っていたもので、すごく納得した言葉があります。
“勝たなきゃ意味がない、ぜんぜんそんなことはないですよ”
“負けても、お客様を喜ばすことができるのがプロ”
これもイチローさんが言っていたことですが、応援しているチームが勝つと嬉しいですが、それ以上にファンが求めているのは『ストーリー』です。
野球選手が全力でバットを振る、ボールを投げる、走る、ボールをキャッチするなどを楽しみで野球を見ています。
勝ち負けだけだったら、ニュースで結果だけ見ればいいだけです。
これはスポーツだけでなく、会社や人も同じです。
「売れるものを作れ!」「売上を伸ばせ!」じゃなくて、世界中の多くの人が喜ぶサービスを提供できる会社や人こそ、本当に価値があります。
大袈裟な広告や品薄商法で騙すんじゃなくて、喜ばれる商品を提供し続けていれば、お客さんはずっと応援してくれます。
僕は「価値のある会社&人が多い日本になってほしい」と願っています。
⑨「素直に自分の非を認めないどころか、逆に何かと抗弁をしたがる。自分も傷つき他人も傷つけることになる。これでは繁栄も平和も幸福も望めるはずがない。自分の非を素直に認め、いつでもこれに準ずる。」
僕がサラリーマンで働いていたとき、自分のミスを隠す人がいて、そのミスの対応や調査によく時間を取られていました。
普通なら8時間の業務ですが、ミスを隠す人がいると残業が増えます。
でも嘘ついたり、他人のせいにする人が本当に多いです。
これは年齢関係なく、そしてマネジメントする立場の人にもたくさんいました。
僕は嘘をつく人が役職になっている人事制度に対し、不満を感じていました。
さらに嘘をつくのは、サラリーマンだけじゃなくて、社長にもいます。
「今を乗り切れば大丈夫!」と根拠のない自信で赤字になって、多くの社員の給料が減ったり、パワハラで追い詰めてクビにする社長もいます。
会社の業績が悪いのは、社長の責任です。
⑩「勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。人間のいわば一つの大事な徳である。何であるかぎり、これを積むには不断の努力がいる。」
年収を増やすためには、学ぶしかありありません。
だけど学ぶ努力をせずに、人を騙して金儲けする人が多い世の中です。
人は「鏡」であって、良いことをすれば良いことが返ってきます。
逆に悪いことをすれば、悪いことが返ってきます。
悪いことをして失うのは、信用です。
信用を失うと上司やお客さんの評価、また友達や家族も助けてくれなくなります。
なのでしっかりと日々学び、信用を貯金しましょう。
⑪「あなたはいま、何をもとめて日々努力し、日本はいま、何をめざして進んでいるのだろうか。」
ベスト10と言いましたが、これだけはどうしても僕が皆さんに考えてもらいたい大切な言葉なので入れさせてください。
僕はブラック企業のパワハラでうつ状態になった後、「やりたいことをやりまくる人生にしよう」と思いました。
その結果、好きだった大手玩具メーカーに転職して、毎日楽しく働きました。
だけど夢が叶うと、夢の先に新しい夢があることに気づいて、32歳のときに起業することになります。
夢を叶えると新しい夢が現れて、叶えていくとどんどん楽しくなります。
なので、「今の自分の夢は何か?」をノートに書き出して、1つずつ叶えてみましょう。
海外旅行に行きたいけど休みが取れないなら、無理やり有給を取ってください。
有給は社員の権利なので、使うことが普通です。
有給を使わせてくれない会社はブラック企業なので、もっと自分を評価してくれる会社に転職しましょう。
おわりに
今回は松下幸之助さんの熱い志が込められた《道をひらく》についてお話しました。
僕は最初の会社を退職して人生に迷っていたとき、この本を読んで人生の考え方が大きく変わりました。
仕事は恋愛と同じで、いろんな仕事をやってみないと「自分に合うか?合わないか?」がわかりません。
みなさんも自分だけの道を見つけ、今から楽しい人生を歩んでみてはいかがですか?
僕が他にオススメする本は厳選|すぎの先生のオススメ本にまとめてあります。
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