今後の楽天の動きが予想できる本『成功のコンセプト』(著:三木谷浩史)についてご紹介します。
この本を読むきっかけになったのは、僕が楽天で面接する際に、面接担当者から「面接する前に読んでほしい」と言われたからです。
この本は10年前に発行された本ですが、今後5Gや6Gと現実とインターネットの共存が深くなるにつれて、楽天がどのように成長していくかを予想することができます。
つまり、投資家の方は投資の情報収集にもなります。
この本は5つの章に分かれており、章毎にご紹介します。
【1章】常に改善、常に前進
この言葉は三木谷さんだけじゃなく、自動車メーカーのトヨタも同じで、トヨタや下請け会社は日々の改善提案を重要にしています。
AppleやGoogleも最初から爆発的に人気になったわけでなく、日々改善することによって認知されていったそうです。
エジソンも「99%の汗と1%のインスピレーションからできている」と言っていて、三木谷さんは”日々の改善という努力が天才になるのだ”と言っています。
三木谷さんは社員一人ひとりの能力を開花させるために、改善を身につけることによって凡人から天才にしたいと考えています。
また”激変する時代に対応するために必要なのは日々の準備だ”と言っており、ここでは執筆した10年後の今を的確に予想されています。
“ブロードバンド環境が完備すれば、インターネット経由で誰もが好きな番組をいつでも見られる時代になるため、視聴率を基準にした広告ビジネスはおそらく成り立たないだろう”と。
まさに大当たりで、2019年にはテレビの広告費より、ネットの広告費が上になりました。
理由は4G&スマホによってどこでも手軽に動画が見えるようになり、テレビよりYouTubeを見る人が増えていったからです。
これは現代では起こっていませんが、「金融/教育/国といったものの概念も変化する」と予想されています。
また、“改善に必要なのは『自己否定する視点』”と仰っています。
同じやり方を続けている人がいるけど、それは愛情や慣れでもっと良い方法があるんじゃない?と三木谷さんは考えています。
その考えで三木谷さんは多数の人が時間を取られる会議が無駄だと思っています。
会議資料を前日に全員が目を通し、会議では資料の不明点だけ質疑応答してみたら、会議の時間が1時間から10分に短縮されたそうです。
「会議とは長時間話し合うものだ」と考えている人は多いですが、こういう考えを否定することが大切だということですね。
【2章】Professionalismの徹底
三木谷さんは24時間365日、仕事のことを考えている人こそプロフェッショナルだと考えているそうです。
これは会社の奴隷になれということではなく、「仕事を遊びに変えろ」という意味です。
仕事や労働は、「生活やお金のための辛いこと」と考えている人が多いです。
その時点でプロフェッショナルではないと仰ってます。
プロフェッショナルとは、漁師さんや個人経営の喫茶店、スポーツ選手など、業種関係なくやりたいことをやっている人です。
僕が毎日夜0時まで残業し、土日出勤も当たり前のブラック企業で働いていたとき、東京旅行で浅草に行きました。
浅草寺の仲見世通りを歩いていたら、お店の人もお客さんもすごく楽しそうでした。
その時に僕は「仕事って楽しくできるんだ」と気づきました。
またイチロー選手がYouTubeで、
「野球は勝ち負けが勝負じゃない。
これは野球選手でも勘違いしている人が多い。
野球選手に一番必要なのは、観客を楽しませること」
と言ってました。
野球の長嶋茂雄さんも、三振するときは大振りしてお客さんを喜ばせたそうです。
三木谷さんはたくさんのプロフェッショナルを見てきて、“自分の喜びのために仕事をすべきだ”と思っています。
またアメリカでは“自分の才能で新しいビジネスを起こす人間を高く評価し、日本とは正反対の考えだ”と。
誰かに喜んでもらえることを続けていたら、自分の価値は上がっていきます。
【3章】仮説→実行→検証→仕組化
三木谷さんの知っているお店の、江戸時代から300年以上続いている京都の老舗について書かれています。
そのお店を含めて、今も元気に商売をしているところは常に新しいことにチャレンジし続けているそうです。
楽天のネット通販を始めてから、仮説/実行/検証を続けた結果、お客さんのお問い合わせや意見について「そのポイントを生かせないか?」と考えました。
結果、お店とお客さんが直接やりとりできる仕組みにしたことによって、クレームの改善&良い商品開発をできました。
三木谷さんは”楽天市場はただの買い物ができる経済行為ではなく、ひとつのエンターテインメントである”と言っています。
また”改善は小さなことの積み重ねで、仮説/実行/検証を毎日続けることが大切”だと言っていて、思いついた時だけ改善するんじゃなくて、”継続的に改善できる仕組み作りが大切”なのだと。
仮説/実行/検証を組織全体で共有することによって、成功した改善や失敗を共有し、組織の無駄な作業が効率化できます。
これが楽天の強みです。
社員のチャレンジ精神について“チャレンジしない方が大失敗するよりも始末が悪い”と語っていて、楽天は終身雇用&年功序列ではなく、成果型主義であることがわかります。
【4章】顧客満足の最大化
三木谷さんは、”インターネットを利用して、地方に住んでいる人も、東京に住んでいる人と同じビジネスチャンスを得られるようにしたい”と言っています。
また”仕事のモチベーションを上げるためには「自分の仕事が誰かを幸せにしている」という実感が大切”で、”大きな理念を掲げても、目の前のお客さんすら喜ばせられないなら意味がない”と言っていて、そのため“顧客の指示の拡大こそがビジネスの拡大である”と。
この言葉から楽天は、一人ひとりのお客さんを幸せにするために頑張っていることがわかります。
また、三木谷さんは”現代の買い物(約10年前の話)はエンターテインメントだ”と言います。
例えばドン・キホーテ。
商品が乱雑におかれているドン・キホーテがなぜ人気であるかというと、『買う』が目的ではなく『見る』が目的だから。
なので”今後、買い物は経験(エンターテインメント)の傾向は強くなるだろう”と考えています。
これに関してはホリエモンやキングコング西野さんなど、日本でたくさんチャレンジしている方々も同じことを話しています。
ホリエモンはロケットを飛ばしたり、キングコング西野さんは絵本を世界中の子供たちにプレゼントしたり、価値の与え方&受け取り方がここ10年で大きく変化しました。
また、三木谷さんはショッピングセンターやブランドに集中するような消費活動は永遠には続かないだろうと予想しています。
そして“働き方は多様化し、個人商店の時代が必ずやってくる”と。
歴史を振り返ると、自動車や洗濯機や農機具など新しいテクノロジーが生まれた時は批判や拒絶反応されました。
三木谷さんも”革新的な新しいテクノロジーが生まれると批判されるのは宿命である”と言います。
これも本当に予想通りで、5GやAIやテレワークが見事に批判されまくっています。
でも結局、自動車や自動織機と同じで、5GやAIやテレワークは世の中に浸透していくと思います。
10年前に書かれた本ですが、終身雇用が崩壊も的中されています。
最近は大手企業も終身雇用や年功序列を維持できなくなって、早期退職の勧誘を進めています。
楽天ではサビ残は禁止で、有給休暇も取れる仕組みにしています。
収入も業績が収入に反映されるので、三木谷さんが社員のことを大切にしていることが伺えます。
【5章】スピード!!スピード!!スピード!!
“スピードを上げるためには、当事者意識、つまり責任感をもって、モノゴトを俯瞰で眺めることで、自然とスピードが上がる”と三木谷さんは言います。
また“常識を捨てて、最終目標&いつまでにやるかを決めてやるべき”だと。
世の中には「今までそれでやってきた」とか「当たり前」という言葉を使う人がいます。
僕は2012年に電卓で社員の残業代を計算している上司を見て、唖然としました。
エクセルに入力用フォームを各部署に配り、VBAで簡単な自動集計するものを作ったら、残業代を計算する作業が無くなりました。
上司は、電卓で計算することが普通だったそうです。
その上司は動いていれば給料を貰えますが、会社は人がやらなくて良い仕事に毎月お金を支払っていました。
2030年には楽天は世界一の企業に成長する
今では芸能人より稼いでるユーチューバーが増え、小中学生ユーチューバーより月収の低い大人もいる時代です。
“テレビだけでなく様々な業界がインターネットと融合していくだろう。20年あれば、楽天は世界一の企業へと成長できると僕は信じている”と言っていて、2030年までに楽天がインターネットを用いた大きいことをすることが予想できます。
楽天は今後、大きな動きになるのではないか?と僕も思います。
僕が他にオススメする本は厳選|すぎの先生のオススメ本にまとめてあります。
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