今回は多くの親や教育者の悩みである『成功する子に育つ教育』について、ハーバード大学やシカゴ大学やコロンビア大学などのたくさんの教育者、また心理学者が関わった《成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか》という本のご紹介をさせていただきます。
著者のポール・タフはハーパーズ・マガジンやニューヨーク・タイムズ・マガジンなどに関わった有名な記者で、子供の貧困と教育政策を専門に活動しています。
本書には、ADHDの子供がチェスのプロになった話も書かれています。
また、失敗する子の育て方に当てはまってしまい「辛い」と感じる方もいらっしゃると思いますが、子供の幸せを本当に願っているなら怖がらずにお聞きください。
今日から改善いただければ、必ず成功する確率が上がります。
それでは、こちらの本の紹介についてお話します。
①子供の教育に最も大切なことは『性格』
様々な教育者や心理学者が教育に関する研究をした結果、子供の教育に大切なことは脳にたくさんの情報を詰め込むことではなく、『性格』を育てることが重要だと言います。
性格とは「粘り強さ」「自制心」「好奇心」「誠実さ」「やり抜く力」「自信」のことです。
また性格は「気質」や「否認知的スキル」と呼びます。
つまり成功する子に育てるためには、情報を詰め込むことより「粘り強さ」や「誠実さ」や「やり抜く力」などの性格を育てることが重要ということです。
成功者といえば、将棋棋士で有名な藤井聡太棋聖、MacやiPhoneの生みの親スティーブ・ジョブズ、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の生みの親スティーブン・スピルバーグなど、成功者は好奇心旺盛で、自分に嘘をつかず、たくさんの失敗を乗り越える性格が当てはまります。
②失敗する子に育つ原因
逆にどういう子が失敗する子に育つかというと、発達段階のストレスによる体や脳にダメージのある子供です。
ストレスの多い環境で育つと集中できなかったり、長時間座ることができなかったり、失敗から立ち直れない性格になりやすくなります。
このような性格になると、集中して勉強ができない人や癇癪を抑えられない人や自信の無い人になるそうです。
また予想外の状況に正しく対処できない人にもなるようで、僕は結構こういう人を見てきました。
売上が下がった時に社員の給料を下げることしかできなかったり、サビ残を強要するような経営者や上司は失敗する子に当てはまると思います。
③『性格』の育て方
性格を育てるためには“失敗する可能性のある物事をやらせてみること”です。
「『やり抜く力』や『自制心』は、失敗を経験しないと手に入らない」と。
つまり子供達に教えるべきことは教科書を暗記させることではなくて、失敗の仕方を教えることです。
赤ちゃんが歩けるようになったり、話せるようになったり、自転車や自動車の運転も同じですよね。
何度も何度も失敗することによって、歩けるようになったり話せるようになったり、自転車や自動車の運転など、できることが増えていきます。
この失敗して学ぶ教育は性格を育てる教育も同じということです。
④『性格』を育てないと成績は上がらない
勉強できる子供とできない子供の大きな違いは性格です。
「ねばり強さ」がなければ、勉強を続けることができません。
「自制心」がなければ、集中して勉強することができません。
「自信」がなければ、答えを間違えた時に悩み込んで勉強できません。
つまり、生まれつき記憶力が良くても、性格が育ってないと勉強ができません。
この勉強ができる性格を『勤勉性』と呼びます。
勤勉性が高いと、人生にさまざまなメリットがあるというデータがあります。
⑤『性格が強い人』とは
この性格に当てはまるほど成功しやすい人です。
ただしポール・タフさん曰く”性格が強すぎると決断力が弱くなったり、喜ぶことを禁止してしまう”こともあるそうです。
⑥良い習慣
性格を育てるために良い習慣を身につけようと書かれています。
これは、28歳まで自己肯定感の低かった僕が性格を改善した方法でもあります。
「もし/ならば」で後回しにしない習慣をつけましょう。
例えば「もし友達が遊びにくるならば、先に宿題を終わらせておこう」など、やらなければいけないことを先にやる習慣が大切です。
やらないといけないことを必ずやる人、つまり約束を守る人は上司であれば会社や部下からも信用されて給料が高いです。
だけど、仕事でも遊びでも約束を守らない人は、信用されずに給料が低いです。
そのため、約束を守る良い習慣を身につけましょう。
心理学者の中では「習慣こそ性格」と言う人もいます。
⑦問題解決能力の教え方
“自分がしている『間違い』に対して責任を自覚させ、『間違い』を落ち込ませるのではなく学びに仕向ける”と貧困の生徒達をチェスのプロにした先生は言います。
つまり『間違い』は怖いことや恥ずかしいことではなく、成功するための学びです。
エジソンも「失敗ではない。一万通りの方法を発見したのだ。」と言っていたように、失敗した先に成功があります。
僕は「失敗は実験、成功は作品」と思っています。
営業/イベント運営/ユーチューバー/起業・経営/料理/スポーツなど、何をやるにもたくさんの失敗をしないと成功は絶対にあり得ません。
失敗を怖がることは自動車の講習所で走らないのと同じで、それではいつまで経っても自動車の免許を取ることはできません。
⑧教育に大切なのは、子供達の鏡になること
サラリーマンの方ならわかると思いますが、大変な時に助けてくれたり、頑張っている上司を見ると「自分も見習おう!」となります。
逆に文句ばかり言っていたり、寝ているだけのダメな上司を見ていると「この会社大丈夫かな?」となります。
子供の教育も同じで、親や学校の先生は子供達の憧れのヒーローになることが大切です。
つまり「勉強しなさい」と言うだけのダメ上司になるのではなく、勉強や学校のことで悩んでいたら一緒に真剣に考えてあげることです。
子供も大人も同じです。
良い見本は尊敬しますが、悪い見本は尊敬しません。
⑨やり抜く力
これはADHDやアスペルガー症候群の方が持つ特徴でもあります。
「落ち着きがない」「社交性が低い」の症状はありますが、『好きなことは他人の話が聞こえないぐらいもの凄く集中する』特殊能力があります。
つまり学校教育は嫌いで勉強ができなくても、陶芸やイラストや動画編集などの芸術に関わる仕事なら、能力を存分に発揮できるチャンスがあるということです。
本書にも勉強できないADHDの子供がチェスに興味を持ち、チェスのプロになったお話が書かれています。
この子も、チェスの盤面を芸術作品として捉えていたそうです。
他にもADHDやアスペルガー症候群で有名な人として、iPhoneを作ったスティーブ・ジョブズ、大学で教授をしているさかなくんさん、元メジャーリーガーのイチローさん、他にも有名な経営者/アーティスト/映画監督/スポーツ選手/ユーチューバーなど、成功している人はやり抜く力を持っています。
やり抜く力を身につけるためには、まずは自分が夢中になれるものを見つけることです。
あとは失敗を何千何万と粘り強く繰り返し、成功するまで続けるのみです。
⑩大学が多いと学ぶ力の低い若者が増える
アメリカで大学に入学する人は増えたけど、中退する人も増えたというデータがありました。
これは大学が増えたことと、高校の先生が大学に押し込もうとするからです。
昔は勉強に対するモチベーション&粘り強さの高い人が大学に入れましたが、今では大学が増えすぎてモチベーション&粘り強さの低い人でも大学に入れます。
だけどこのような人達は大学に入れても挫折し、中退するケースが多いというデータがあります。
そして社会人になっても給料の低い仕事をしたり、仕事を挫折したり、お金のためだけに生きる人生になってしまいます。
これは約10年前のアメリカのデータですが、日本でも同じ状況になってきています。
現代のアメリカは学校教育だけではなく、藤井聡太棋聖が幼少期に受けたモンテッソーリ教育、またシュタイナー教育などの性格を育てる学校が増えています。
つまり、今後の日本も性格教育が必要な時代になると予想しています。
おわりに
この本を一言でまとめると『成功する子供に育てるには、これらの能力が大切』です。
これらの能力を育てないとテスト勉強や受験勉強、また大人になっても仕事や人生を投げ出してしまいやすくなります。
人生を投げ出す人とはニートになったり、命を落とす人のことです。
本当に子供の幸せを願うなら失敗をいっぱいさせて、藤井聡太棋聖やさかなくんさんのように好きなことをサポートする教育をしてみてはいかがでしょうか?
僕が他にオススメする本は厳選|すぎの先生のオススメ本にまとめてあります。